生地がなくなり困り果てた時に救世主が現れる

学校や幼稚園再開に向けて3人分の子供用のマスクを急ピッチで作ると、生地はあっという間になくなってしまいました。マスクは衛生品です。1枚を連続して使用するわけにもいきません。帰宅後、すぐに洗って乾かすを繰り返すことで消耗が激しくなることも考えられます。

生地が底を尽き、「学校が始まることを考えると各人少なくとも3枚は作りたい」と考え、再度重装備で手芸店に行かなければならないと思っていた矢先、思いもがけない場所でマスク向けの生地に出会ったのです。

5月の連休が過ぎた天気の良い日に子供たちと一緒に散歩をしていました。昭和からあるような佇まいの近所の薬局の前を通った時、子供たちが「ガーゼの布を売っているって!」と叫ぶのです。一瞬何を言い出したのかと思いましたが、達筆な文字で「マスク用ガーゼ生地あります」と書かれた紙が貼られていました。

恐る恐る店内に入ってみると、片隅のワゴンには様々な柄の生地が置いてあります。子供向けから女性、男性にも合う柄があり筆者は目を丸くしました。思わず「どうしてこんなにあるのですか」と年配の店主に話しかけてみると、驚きの真相を語ってくれたのです。

80歳近くと思われる店主には長年連れ添った奥様がおり、40年近く趣味も兼ねて和裁と洋裁教室を開いていました。数年前に惜しまれつつ教室を閉めたそうですが、古くからの付き合いのある生地問屋さんが「マスクが不足していると思いますが、もしよければ材料のガーゼ生地を置いてくれませんか」と届けてくれたそうです。