ずっと言っていた「いつか」がやって来たと直感したのでしょう。父親の威厳を発揮すべく、自らプレステ2を箱から出してテレビに接続します。本当に動くのかどうか、固唾をのんで見守る子供たちの顔は真剣そのものでした。

中古のゲームソフトを買い足す夫

十数年以上まったく動かしていなかったプレステ2から起動音が聞こえてくると、夫は嬉しさのあまりガッツポーズ。それに釣られるように子供たちも小躍りするなど、ちょっとしたお祭り騒ぎになったのです。

「ゲームソフトがないでしょう」という私の言葉に反応した夫は、箱の中からゴソゴソと何かを取り出しました。なんと、存在だけ聞いていた「買ったけれどほとんどやらなかったゲームソフト」が姿を現したのです。几帳面な夫が管理していたこともあり、美品そのもの。

コントローラーは1つしかなかったので交代でプレーしていくと、アプリゲームとは比べ物にならないほど3人とも大はしゃぎでした。今のゲーム機ではほとんど見られない有線のコントローラが新鮮に映ったのか、無駄にボタンを押すなど、まるで昭和の子供がファミコンに初めて触る時のような反応を見せていました。

3人の反応に気をよくした夫はネットで専用のコントローラーを2つ買い足したり、皆で遊ぶのに最適な中古のレースゲームを購入するなど、当の本人は全くもってゲーマーではないのに積極的に必要なアイテムを集めていきました。「学校に行けないストレスを少しでも解消できれば」という一心で、夫なりのサポートをしようとしていたのです。