深刻な不況が金融危機を招く可能性は否定できないので、リスクシナリオとして頭の片隅に置いておくべきだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。
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新型コロナ不況の深刻化にともなって、金融危機の発生を心配する人が増え始めているようです。そこで、リスクシナリオとして金融危機を考えるシリーズを記すことにしました。第1回の今回は、起こり得る金融危機の概観です。
金融危機は何度も起きてきた
過去、金融危機は何度も発生しました。典型的なのは、バブル崩壊による不良債権の増加で銀行経営が傾き、金融仲介機能が麻痺してしまった場合です。日本の平成バブル崩壊後の金融危機、米国で不動産バブル崩壊後に起きたリーマンショック、等々は、規模も影響も巨大なものでした。
新興国から大量の資金が流出して新興国通貨が暴落し、通貨危機が発生したこともあります。アジアの通貨危機は記憶に残っている人も多いでしょう。
先進国でも政府債務が拡大して返済不能となったケースがありました。ギリシャの債務危機は記憶に新しいですね。
今回懸念されているのは、深刻な不況が原因で金融危機が発生するかもしれない、ということです。どのようなことが起こり得るのか、考えてみましょう。