1日当たりの受給額に限度がある

さらに、ざっくりと1年間の給与の平均値から受給額を計算するのですが、1日当たり8,330円が限度ということになっています。法律上の最低限度である給与の60%を超えて支給した場合、超えた部分は100%助成するということになりましたが、それでもこの上限は残っています。

月22日勤務で、月給30万円の人であれば、会社が100%補償したとして、会社が受給できる助成金は22日×8,330円=183,260円が限度ということです。会社の負担で休業中に研修を行えば多少は上乗せ給付されますが、それでも100%補償してもらえるということにはならないのです。

今後は、この8,330円という上限を15,000円まで上げるという案もあります。しかし、上限を上げたところで、申請件数が大きく伸びるかどうかは不明です。そもそも書類を作る過程で上限に達しているかどうか分かるわけですから、受給額の多寡が申請するかどうかの意思決定の主たる要素でもないと思うのですが。

こうした申請の複雑さから、助成金の専門家である社労士に申請を依頼する方法もありますが、対応できない社労士も多くいます。そもそも実務的に対応できない場合や、受給額が少なく報酬が取りにくいなどという理由もあります。自治体によっては社労士への費用を補助するという制度を取っているところもあります。

アルバイトなども対象にしたことによる問題

さらに、現場の混乱を招いているのが、アルバイトなどの雇用保険に加入していない人も雇用調整助成金の対象としたことです。

雇用調整助成金は財源が雇用保険料なので、雇用保険に加入していない人(扶養の範囲内で働くパートの方や学生アルバイトの方など)はもともと対象外でしたが、今回のコロナウィルスでの特例では、これらの方への休業手当も助成対象となったのです。