そのため、これまで雇用していない人に給与を払ったことにして雇用調整助成金を受給できないか、といった相談まで社労士のところに寄せられる始末です。
こうしてまとめてみると、今回の新型コロナウイルスにおける雇用周りの諸問題を、この雇用調整助成金の枠組みで解決しようとしたこと自体に無理があるということを改めて思い知らされます。
みなし失業や休業者給付金も検討中
雇用調整助成金は、まず事業者が従業員に休業手当を支払って、その後、国からその一部が助成されるという制度です。
まずは事業者の給与(=休業手当)の支払いが先にきます。そもそも売上が落ち込んで、家賃などの固定費が出ていく中、さらに従業員の休業手当を支払わないといけないというのは、事業者にとっては非常に大きな負担です。しかし、雇用は維持しておかないと、状況が改善した後の事業活動に支障をきたすのも事実。
ある会社で、一度解雇して失業手当を受給し、後に再雇用しようとしているところもありましたが、結局再雇用が予定されているということで失業手当の対象にはならないということになりました(当然の話ですが)。
みなし失業
こんな状況の中、検討が行われているのがみなし失業の制度です。
失業してはいないけれど、失業したものとみなして失業手当を受給できる制度です。東日本大震災のときに行われた制度ですが、新型コロナウイルスにも適用しようというわけです。
これなら事業者が休業手当を支払う必要もなくなりますし、難しい書類を準備する負担もなくなります。確かに新型コロナウイルスは事業者からしたら天災のようなもので、いくら雇用の維持とはいえ、売上減少の中で休業手当を支払うという負担もなくなります。