新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、国内の多くの産業が打撃を受け、雇用状況が悪化するこんにち。会社の業績悪化により失業に追い込まれる人も急増しています。求職活動に際して、適職を見極める力やスキルアップへの意欲がこれまで以上に求められることになりそうです。
今回は、失業中に受けられる職業訓練についてみていきます。
「公的職業訓練」って?
公的な職業訓練支援制度は大きく「在職者向け」「学卒者向け」「離職者向け」に分けることができます。それぞれの下記のようなイメージです。
在職者向け訓練
中小企業で働く人を主な対象とした、スキルアップが目的の訓練。受講料は有料。
学卒者向け訓練
高校卒業者などを対象とした、職業に必要な高度で専門的かつ応用的な技能・知識を習得するため長期(1~2年)の訓練。受講料は有料。
離職者向け訓練
離職者が再就職に必要なスキルを身に付けるための職業訓練。受講料は無料。(ただし教材代などは自己負担)
最後の離職者向け訓練はハローワークの求職者のうち、失業給付(いわゆる“失業保険”と呼ばれているもの)を受給している人が対象で、「公共職業訓練」と呼ばれます。この受講要件を満たしていない場合は「求職者支援訓練」という制度を利用することになります。
次では、「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」の概要についてみていきます。
もっと詳しく!「失業中に受講できる職業訓練」
まず、「公共職業訓練」「求職者支援訓練」に共通することからみていきましょう。
受講費用
原則無料(テキスト代・工具代などは自己負担)
受講期間
科目によって異なる(3カ月~1年程度)
訓練検索・一覧(ハローワーク インターネットサービス)
受講までの流れ
ハローワークに求職申し込みをした後、訓練を実施する施設などが行う選考(面接など)に合格し、ハローワークで受講あっせんを受ける。(※1ハロートレーニング受講の流れ)
受講あっせんの条件
ハローワークが「訓練の受講が適職につくために必要である」かつ「訓練を受けるために必要な能力を持つ」と判断した者
次に、それぞれの受講資格や訓練内容、訓練期間の生活を支援するしくみなどについて、詳しくみていきます。
公共職業訓練(離職者訓練)
受講資格者
失業給付の受給資格をもつ人
受講場所
国や都道府県、独立行政法人などが運営する常設校(施設内訓練)や、都道府県が委託した民間企業や専門学校(委託訓練)
受講できる科目
機械・建築造園・塗装・情報・ファッションなど幅広い
- 施設内訓練…テクニカルオペレーション科、電気設備技術科、住環境計画科、自動車整備科、木工科、造園科など
- 委託訓練…介護サービス科、情報処理科など
失業給付の延長
訓練期間中に失業給付金の受給期間が終わる場合は、訓練が終わるまで失業給付が延長されます。
求職者支援訓練
受講資格者
(※2厚生労働省リーフレットより抜粋)
失業給付の受給資格をもっていない人、より詳しくいうと下記の4つの要件を満たす「特定求職者」
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
該当する具体例
- 雇用保険に加入できなかった
- 失業給付(基本手当)の受給中に再就職できないまま支給が終了した
- 雇用保険の加入期間が足りず失業給付を受けられない
- 自営業を廃業した
- 就職が決まらないまま学校を卒業した
受講場所
厚生労働省の認定を受けた訓練課程を提供する民間教育実施機関
開講コースの例
(令和2年6月8日開講コース/東京労働局の場合※3)
基礎コース:社会人としての基礎的能力および短時間で習得できる技能などの訓練
- パソコンスキル基礎科
- 初歩からできるビジネスパソコン基礎科
- ビジネスパソコン基礎科
実践コース:就職希望職種における職務遂行のための実践的な技能などの訓練
- WEBクリエイター養成科
- ゲーム・アプリ・WEBクリエーター養成科
- アプリ・WEB・システムエンジニア養成科
- ITエンジニア就職科
- パソコン・経理・総務・表計算VBA実務科
- 不動産ビジネススキル養成科
- オフィスワーク総合マスター科
- 医療事務・医事コンピュータ・調剤事務科
- 基礎から学ぶ医療事務・医師事務作業補助者養成科
- WEBデザイナー養成科
- グラフィックデザイン科
- 建築知識も学ぶCAD図面作成科
- アロマ・エステティシャン養成科
- ネイリストマスター養成科
また、求職者支援訓練の受講者には、収入や資産などが一定の要件を満たした場合「職業訓練受講給付金」が支給されます。
「職業訓練受講給付金」
月額…10万円+通所手当+寄宿手当
支給要件:以下の要件すべてを満たしていること
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有してない
- すべての訓練実施日に出席している(やむを得ない場合については別途ルールあり)
- 世帯の中に、同時にこの給付金を受給して訓練中の者がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正行為などにより特定の給付金の支給を受けたことがない
早期の再就職につながる、実践的な訓練
2018年度に訓練を終了した人たちの、訓練終了3カ月後の就職状況をみると、
公共職業訓練 施設内訓練…86.8% 委託訓練…75.1%
求職者支援訓練 基礎コース…59.6% 実践コース…63.9%
といずれも高い割合となっています。(※4・※5)
いずもハローワークでの相談を通じて紹介される、ご自身の適性や今までのキャリアを踏まえた実践的な訓練です。早期の再就職を目指すうえで活用を検討されてもよいかもしれませんね。
なお、COVID-19の感染拡大防止のため、臨時休校の措置がとられている場合なども考えられます。申し込み方法や開校状況などについては、事前に関連ホームページでの確認をおすすめします。
【参考】
「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」厚生労働省
「訓練検索・一覧」ハローワーク インターネットサービス
※1「ハロートレーニング受講の流れ」
※2「雇用保険を受給できない求職者の皆さまへ 求職者支援制度があります!」厚生労働省
※3「求職者支援訓練のご案内 訓練の種類」東京労働局
※4「平成30年度離職者訓練就職率」厚生労働省
※5「求職者支援制度の実施状況について(受講状況・就職状況)」厚生労働省