ベストセラーとなった『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 』。本書では子育てにおいて、「叱ってはいけない、ほめてもいけない」と教えています。
叱ってはいけない意味は分かる一方で、理解するのも、実践するのも難しいのが「ほめてもいけない」こと。子どもが何か一つできると、自然と喜びの感情が湧き上がり、満面の笑みが出て、「すごいね!」と拍手をしたり、頭をなでてほめるーーこのような反応は自然と出るものです。
子どもをほめることはごく自然な反応ゆえ、ガマンするのも難しいもの。3児を育てる筆者も、当初「ほめてはいけない」という考えは受け入れがたいものでした。
親の言いなりの子どもに育てないために
アドラー心理学の他の部分には賛同するものの、「子どもをほめてはいけない」部分に関しては疑問が残っていた筆者。しかし読み解いていくと、アドラーは、ほめるという行為は「能力のある人が、能力のない人に下す評価」であると指摘するのです。
ほめる行為の背景には「上下関係」があると指摘するアドラー。これは大人が大人をほめるケースを想像すると分かりやすいでしょう。