たとえば仕事で成果を上げたとき、上司に「よくやった」とほめられるのはすんなりと受け入れられるものの、同僚や後輩に「よくやりましたね」とほめられると違和感を感じる、という方もいるのでは。それは、アドラーが言うように上下関係を伴うからでしょう。

ほめる行為の背景にあるのは、「相手を操作しよう」という目的。なるほど、親がほめると小さな子は喜んで同じことを繰り返し「できたよ」とアピールしたり、もっとほめてもらおうと頑張ります。

子どもが段々と成長すると、「親にほめられたいから勉強しよう」「親にほめられるために進路を選ぼう」と考えることは、特に日本では多いかもしれません。子どもをほめることには、常に親の顔色を伺い、親の意見を求め、親にほめられる人生を歩むよう育ててしまうというリスクがあったのです。

自分で考え、自分で納得した人生を歩んでもらうために

親の言いなりの人生を歩むのではなく、子ども自身の頭で考え、自分が納得できる人生を歩んでもらうために、親ができることは何でしょうか。

アドラーは、ほめることで生じる上下関係のような「縦の関係」ではなく、あらゆる人間関係が「横の関係」になるよう勧めます。