ここ1カ月、中国では新型コロナウイルス封じ込め措置の緩和と経済活動の再開が始まっている。一部の景気指標では、経済活動の再開を反映し、生産の正常化が消費の正常化に先行している。
しかし、世界各地でウイルス封じ込め対策が延長されていることから、世界的な需要の回復にはまだ相当に時間がかかると見込まれる。国内経済の活動再開にもかかわらず、中国の順調な回復は依然として困難なようだ。
中国は通常、全国人民代表大会(全人代)で経済目標を発表する。中国の立法機関である全人代は、通常毎年3月に開催されるが、新型コロナウイルの影響で今年は5月22日に開催が延期された。
次回の全人代の注目度は非常に高まっている。なぜなら、全人代で野心的な成長目標が公表されれば、それは今後、より積極的な経済刺激策が取られることを示唆し、逆に、保守的な目標が公表されれば、より小規模で、的を絞った経済支援策が導入されることを意味するからだ。
数十年ぶりの景気後退を受け、国内の経済成長を後押しするため、全人代開催までの間、中国人民銀行(中央銀行)は予想どおり4月に事実上の政策金利を引き下げる経済支援策を実施している。
他の世界中の中央銀行と同様、中国人民銀行の主な目的は、破産や失業を抑制するために小規模企業への信用の流れを確保することだ。このような背景を念頭に、利益の伸びと信用の質の二面に重点を置いて、中国の企業全体の健全性を見てみたい。
企業収益見通し
ゴールドマンサックスの予測では、中国の非金融企業の2020年1-3月期の利益の伸びは、前年比42%減になると見込まれている。これは、公表されている経済指標の数値と整合する。企業の利益は、1-2月で少なくとも過去10年間で最低水準に落ち込み、特に鉱業、製造業、電力セクターは総じて大幅に下落している。
政策支援措置は、新型コロナウイルスの影響をある程度緩和することに貢献するだろう。100%のパススルー(波及)率を前提にすると、実効貸出金利が50bps低下するごとに、非金融企業の利益は4〜5%増加する計算となる。しかし他方で、金利引下げは銀行の収益性に悪影響を与える可能性がある。
コロナウイルスのパンデミックが世界的な需要を弱めているため、消費者の信頼が回復するのに時間がかかることが見込まれ、中国企業の利益はマイナス成長に沈む可能性もある。