国際金融公社(IFC)による「MSME Finance Gap 2017」(2018年10月発表)によれば、世界の途上国全体で企業登録しているフォーマルなMSMEは3.1億事業者存在し、うち41%に相当する1.3億事業者が資金調達難に直面しているそうです。
その資金ギャップ(潜在資金需要額と資金供給額との差額)は約4.8兆ドルで、途上国全体のGDPの18%に匹敵します。さらに、(企業登録していない)インフォーマルな零細企業の資金ギャップは約2.8兆ドル(GDP比11%)です。合計すれば、もともと約7.6兆ドル(GDP比29%)もの資金ギャップが生じている状況なのです。
先行き、先進諸国のみならず、途上国でもSME救済策の必要性が叫ばれ、財政基盤の弱い現地政府に対して国際機関などによる支援協力も必要になってくるかもしれません。
金融収縮時にフィンテックはSMEを救えるか
さて、今回のようなコロナ危機、長引く経済不況に伴うSME向け金融収縮というシナリオにおいて、フィンテックには何ができるのでしょうか。世界ではコロナ危機に対応して様々なアイデアが出現しているようです。たとえば、英国では一つの興味深い取り組みがあります。
Trade Ledger社(デジタル融資プラットフォーム)、Wiserfunding社(デジタルSMEクレジット・スコアリング・プラットフォーム)、Nimbla社(貿易信用保険)およびNorthRow社(対顧客プロセスのデジタル化)が共同で、銀行・オルタナティブレンダー(フィンテックを駆使して伝統的な金融仲介機関を代替する貸出事業者)などに向け、迅速な融資サービスのためのプラットフォームの提供を開始しています。
緊急時に何より重要なことはサービスの迅速化です。融資手続きが遅れればSMEには命取りになりかねません。実際、市中銀行で融資手続きに数週間かかるところ、このプラットフォームを活用すれば数日で融資する仕組みになっているようです。