新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて世界各国では経済不況とその長期化が心配されています。中でもSME(中小企業)を救うべく、まずは各国政府による緊急対策が重要ですが、中長期的には「金融」の真価が問われてくると思います。

また、経済不況が長引くシナリオにおいては、世界最先端のフィンテックはどれほど貢献できるか、一つの重要な論点にもなってくるでしょう。

各国政府によるSME向け緊急対策

各国政府は、まず金融支援で苦境に陥っているSMEを救済することが先決です。とにかく出血を止め、資金繰りを安定化させることです。

特にスタートアップの場合は、運転資金を銀行から借入できるわけでもなく、キャッシュフローが逼迫してランウェイ(runway)が短くなれば、事業が軌道に乗る前に資金ショートしてしまい致命的です。ランウェイとはスタートアップがキャッシュ不足に陥るまでの残存期間のことです。

現在、各国政府は様々なMSME(micro, small, and medium-sized enterprise、零細・中小企業)向けの緊急金融支援を検討、実施しているところです。ただ、今のところ、従業員やフリーランサー個人向け支援を先行して実施しているようです。

たとえば、英国では3月23日よりビジネス支援の一環として、「コロナウイルス事業中断ローン・スキーム(The Coronavirus Business Interruption Loan Scheme)」というSME向け制度融資が始まっています。

対象は売上4,500万ポンド(約60億円)以下のSMEです。融資上限額は500万ポンド(約6.7億円)で、当初12カ月間は金利や諸経費は免除されます。取扱い金融機関は指定された40機関で、政府が融資額の80%につき信用保証します。