また、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン等でも、従業員向けの給与補助などとともに、SMEを含む企業向け融資・信用保証のための予算措置が発表されています。
緊急時に政府ができることは、日本のように中小企業専門の政府系金融機関が存在しなければ、市中金融機関を経由した「代理貸」、あるいは「信用保証」というスキームを活用することになります。政府が金利や保証料をどこまで肩代わりするかは、各国の方針や財政事情によります。
ちなみに日本では、政府系金融機関である日本政策金融公庫から、直接「生活衛星新型コロナウイルス感染症特別貸付」が供給されており、「実質無利子化」という設計になっています。1.6兆円規模の金融措置です。
経済不況の長期化に伴うSMEのクレジット・クランチ?
中長期的には、グローバル経済に統合されてきた各国の国内経済は長引く景気後退に晒されるシナリオも懸念され、世界のSMEにとって決して楽観できる金融環境とはならないかもしれません。
長年、先進諸国を中心として世界的な低金利・金融緩和期にありますが、今後、コロナ不況に伴いSMEのローン返済遅延や倒産が多発すれば、金融機関にとっては不良債権が増加し、世界各国のSME向け融資現場で金融収縮が発生する不安があります。
それは、バブル崩壊後の日本で不良債権問題により金融危機が深刻化したときに起きた「貸し渋り」や「貸し剥がし」と言われたような現象です。そうなれば、世界の多くのSMEの資金繰り逼迫感が強まるでしょう。
一方、発展途上国に注目すると、経済・産業インフラが脆弱な諸国では、そこに存在する無数のSMEでも世界的な不況による悪影響が徐々に大きくなるかもしれません。