そこで、博史さんの言葉を受け入れず、改めて別れを告げると彼は豹変。「こんな優良物件を逃して後悔すると思う。っていうか、後悔すればいいよ。やっぱり民度の低い女はダメだわ」と言い放ったのです。

未曽有の事態によって明らかになった、彼の本性。裕子さんはショックを受けましたが、安堵もしたそう。「もし、コロナが流行っていなかったら彼の本性に気づくのはもっと遅かったはず。この歳の1年って貴重だから、時間を無駄にしなくてよかったと思いました。」

人の本性や本音は自分の身が危険にさらされた時にこそ、明らかになりやすいもの。誰しも自分の身が一番大事なのはもちろんですが、厳しい状況下だからこそ他人を思いやれる心を持っている人は魅力的に見えます。

博史さんと裕子さんの恋の結末は、緊急時の自分を振り返るきっかけにもなりそうです。

古川 諭香