知的な彼への愛が冷めた日

しかし、博史さんは徐々に裕子さんのことも軽視するようになっていきました。そして起きたのが、2人の溝を深める決定的な出来事。

それは、2人でディナーに行った日のこと。席に座った時、博史さんの隣にいた男性が偶然、咳込み始めました。すると、博史さんは顔をしかめて裕子さんに「悪いけど、コロナだったら怖いから席変わってくれない?」と要求。この発言を聞き、裕子さんは強い憤りを感じました。「健康に注意することは大切ですが、隣の男性はただの風邪かもしれないし、失礼だと思いました。そして、どうして私を盾にしようとするのかなって。この人は結局自分が一番大事なんだなって思ったら、なんだか冷めました。」

その日の帰り道で裕子さんは別れを切り出すことに。すると、博史さんは自分との未来がいかに幸せかをアピールし始めたそう。「僕の勤務先、知ってるよね?一緒にいたら将来、金銭的に苦労することはないよ」「もし子どもが生まれても、十分な教育を受けさせてあげられる」。そんな博史さんの訴えは、心に全く響きませんでした。「金銭的余裕があることや子どもに十分な教育がしてあげられることは、たしかに大切です。でも、この人とずっと一緒にいたら私も将来産まれてくる子どもも、何かが欠落した人間になってしまいそうだと思いました。」