人の本質は平時ではなく有事で明らかになる

その人の真の人間性や、知恵というのは平時ではなく、有事の際にこそ露呈するものではないでしょうか。落ち着いた平時の際にはすました顔をして冷静に振る舞う人でも、有事の際には慌てふためき、発せられる情報を分析することなく鵜呑みにしてしまうものなのです。

件のトイレットペーパー買い占め問題も、「トイレットペーパーが不足する」という情報がやってきても「本当だろうか?」とその反対意見を調べれば、デマかどうかはすぐに判断できます。「トイレットペーパー不足だと困る!」と保身に走ってしまう人ほど、ムダに行列に並ぶことになったり、余分なものまで大量に買い込んでしまうので、かえって損失を被る結果を招きます。

また、マスク転売についても同様です。マスクが不足したことで、一部の転売屋がマスクを大量に仕入れて、高値で売りさばくという問題が起きました。

一部の転売屋の言い分として「市場に流動性を与えるという価値を提供している」がありますが、これは正しい意見ではありません。なぜなら、高値転売を前提とした大量仕入れがなければ、そもそも流動性が損なわれることもなかったからです。

つまり、買い占めは迷惑でしかないということです。こうした自分本意な行為が怒りを呼び、オークションサイトなどでの転売を妨害することにもつながりました。これも「周囲が困っても自分さえよければいい」という自己中心的なモラルの低さが有事の際に露呈したことになるわけです。