異常な状況下で頼るべきは過去の体験ではなく「歴史」

こうしたパニック下の状況では「デマ」が流布します。実際、「マスクと同様にトイレットペーパーも不足する」とSNSでデマが拡散されてしまい、それを信じた人たちが大量にトイレットペーパーを買い占めに走るという事態が起きました。

デマは出来心からのイタズラのように捉える人もいますが、ビジネスに混沌を招き、ダメージを与える「経済犯罪」に他なりません。

デマを流す人は論外として、問題は圧倒的多数の「デマを信じて行動する人たち」です。

1970年代のオイルショックにも同様の買い占め行動が起きました。情報を多面的に得られ、マスメディアだけでなく個人も発信できる時代になったにも関わらず、買い占め行動が今回も起きてしまったのです。「周囲が買っているからとりあえず自分も買う」というのでは歴史から学べておらず、人類の文化レベルとして進歩がないことになります。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」というビスマルクの言葉があります。こうした異常な状況下で、参照するべきは「自分の過去の経験」ではなく「歴史というデータ」ではないでしょうか。今回のトイレットペーパーも「歴史」に答えが出ていたわけですから、周囲の言葉や自分の過去の体験を参照するべきでないのは明白です。