大人になっても人間関係が築けなかった

しかしSさんはいじめ癖が抜けず、社会人になっても相手を無視したり、きつい言葉をかけたりする傾向があったといいます。結局職場でもよい人間関係を築くことができず、長続きすることはありませんでした。

30代に入り少しずつ気持ちが落ち着いてきたころ、ようやくこれまでのいじめ行為について向き合えるようになったといいます。しかし、Sさんは今もいじめをしてしまったことを謝れず、きっとこの先も胸にしまったままだろうと話しました。Sさんはこう続けます。

「海外では、いじめの加害者にもケアをすると聞きました。私も早めにケアを受けられていたら、こじらせることもなかったのかもしれません」

アメリカのバージニア州では、いじめの加害者生徒に感情のコントロールに関するカウンセリングを受けさせたり、共感トレーニングを施したりするといいます。またイギリスでは、加害者の親に子育て講習を受けさせ、拒否すれば罰金を科すこともあるそうです。日本では、加害者に対して根本的なケアやサポートはされていないのが現状ではないでしょうか。