黒字転換への道、COVID-19が暗雲となるか

値上げにより客足が遠のいたことを受けて、大戸屋は2019年10月の消費税増税に伴う値上げを行わず据え置きにするなどの措置を取りましたが、結果的に客足は回復しなかったようです。
そして2020年2月28日、大戸屋はこれまでの経営不振を受けて「役員報酬の減額」(※5)を決定するとともに、『「経営改善計画(骨子)」に関するお知らせ』(※6)を発表しました。

経営改善計画には「カット野菜等を使う人手不足の改善による人件費カット」や「お値打ち価格の実現」などが盛り込まれています。

さらに、2019年10月には「牛角」や「かっぱ寿司」を傘下に持つ外食大手「コロワイド」が、大戸屋ホールディングスの創業家から発行済み株式の18.67%を買い取ったことにより、業務提携やM&A(合併・買収)、協業などが期待され大戸屋ホールディングスの株価は一時急騰しました。

経営改善や協業により黒字転換への再建に向かう大戸屋ですが、そこに世界的に流行しているCOVID-19が大打撃を与える恐れがあります。
COVID-19を恐れ、顧客が外出を控える傾向になれば、大戸屋の店舗ごとの売上減は確実です。

また、2月28日に発表された「業績予想の修正」には、COVID-19については盛り込まれておらず、大戸屋の本決算は5.3億円以上の赤字になることも考えられます。

上場来初の赤字決算が濃厚となった大戸屋に、COVID-19が追い打ちを掛けそうですが、今の状況から将来的に黒字転換を成し遂げることができるのでしょうか。今後の経営改善の成果を見守るしかありません。

【参考URL】
(※1)『2020年3月期 第3四半期決算』大戸屋ホールディングス 
(※2)『特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ』大戸屋ホールディングス
(※3)「大戸屋、12品目で最大70円値上げ 原材料費や人件費高騰受け」2019年4月18日 日本経済新聞
(※4)「大戸屋、直営店を黒字転換」2019年12月18日 日本経済新聞
(※5)『役員報酬の減額に関するお知らせ』大戸屋ホールディングス
(※6)『「経営改善計画(骨子)」に関するお知らせ』大戸屋ホールディングス

鈴木 太陽