市場にも影響が大きいトランプリスク

この4年間、今年1月のイラン危機や2017年の北朝鮮危機、米中貿易摩擦など、我々はいわゆるトランプリスクに幾度も直面してきた。そして市場関係者たちも、その“不透明戦略”を注視してきた。

現在、トランプ大統領の頭の中は大統領選でいかに勝つかで一杯であり、米権益に対する重大な侵害(イスラム過激派によるテロやイランによる攻撃など)が起きない限り、今年秋までの間に目立った軍事的威嚇や攻撃は控えると思われる。

しかし、米国第一主義を貫く大統領だけに、軍事的攻撃はやらないにしても、仮に米権益への挑発や侵害が起きれば、大統領選へのアピールも込めて(それが支持を得られる範囲で)、北朝鮮危機やイラン危機の時のように、言葉による緊張を高め、その影響が市場に出る可能性はある。

そして、仮にトランプ大統領が再選すれば、当然ながら我々はさらに4年間トランプリスクと付き合うことになる。再選したからといって、二期目と一期目で政策や主義・主張に大きな変化が表れることはないだろう。

現在、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで国家間の摩擦は休止中のようにみえるが、現実には依然として続いており(中国の海洋進出や親イラン武装勢力の活動なども続いている)、いずれそれらは再びいつものように報道されることになる。

和田 大樹