一番満足度が高まる年収は?

「収入と貯蓄」の関係のつぎは、「お金と心」の関係について考えていきましょう。

内閣府が2019年に公表した『満足度・生活の質に関する調査 第1次報告書』をもとに、世帯年収別の生活満足度をみていきましょう。幸せと生活満足度は同じ概念ではありませんが、参考にはなります。

※この調査では、生活満足度を「総合主観満足度」という数値で表しています。「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0点から10点の11段階で回答してもらい、「全く満足していない」を0点、「非常に満足している」を10点として算出しました。

総合主観満足度を世帯年収別に示したのが下記のグラフです。

(「世帯年収別の総合主観満足度」 内閣府の資料をもとに編集部作成)

総合主観満足度のアップ率が高いのが、「年収100万円以上300万未満」と「300万円以上500万円未満」の境目で、5.20から5.68と0.48ポイントもアップしています。「人は平均的な年収に達するときに、満足度を大きく上げる」といえそうです。

平均レベルの年収があれば、周囲の人が持っているものが買えずに困ることはなくなりますし、「お金がない」という理由でコンプレックスやストレスを感じることも少なくなるでしょう。

一方、年収3,000万円を超えると総合主観満足度は次第に下がっています。年収が上がれば上がるほど幸せになれるとは限らないのです。その理由としては、「裕福さに慣れてしまうこと」や「周囲の年収も高いと特別感が得られないこと」などがあるでしょう。