一言でいうと、過去5年で退職給付額(退職金)は減少している。大学・大学院卒の場合でいえば、1941万円から1788万円にまで減少している(アップル・トゥー・アップルの比較で)。

冒頭の平成30年の数字では「常用労働者30人以上である会社組織の民営企業で複合サービス企業」を含むということで、その影響も含まれて退職給付金の金額が底上げされているようにも見えるが、このアップル・トゥー・アップルの比較をした際の減少は意識しておいてもよいであろう。退職金は減少しているということである。

若い世代のはたらき方の変化による影響

このデータをみる上でのポイントは「勤続20年以上かつ45歳以下の退職者の場合」であり、近年の若年層の転職率や在職期間なども考えれば、以前のように生涯同じ会社で勤務し続けるという状況は考えにくい。

したがって、「だれもが退職金で2000万円近くもらえる」と考えるのは短絡的であり、転職が当たり前の時代となってきていることを考慮すると、自分の退職金はどうなっているのかという点を意識して考えなくてはならない時代になってきている。

企業において企業型確定拠出年金(企業DC)制度がある場合には、退職時までにどの程度の拠出ができて運用次第でどの程度まで資産が増えているのかなどの確認も必要であろう。