筆者は、個人向けの資産運用や保険見直しのコンサルティングを行っていますが、相談者の多くが「なんとなくお金を分けているだけで、しっかり貯蓄できている実感がない」と話されます。
確かに、毎月なんとなく一定額を貯めているだけでは、不測の事態に備えられず、家計が一気に困窮する可能性もあります。2019年ごろに話題となった「老後2000万円問題」を覚えている方も多いのではないでしょうか。
物価上昇の影響で、日々の生活費は増加傾向にあります。その一方で、私たち現役世代の年金受給額が将来減少する可能性も指摘されています。このような状況で、老後を安心して迎えるためには一体どのくらいの資金が必要なのでしょうか?
今回は、世帯年収600万円台の家庭に焦点を当て、その貯蓄事情を探っていきます。同じような収入のご家庭がどの程度の資産を築いているのかを知ることで、自身の家計管理の参考になるはずです。
また、記事の後半では老後資金の準備方法についても解説します。これからの長い人生を見据えて、効率的に資産を準備するヒントをお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 個人の平均年収は400万円台で推移
日本の個人平均年収は、長年にわたり400万円台にとどまっています。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、この傾向は続いており、大きな変化は見られません。
しかし、過去10年間に限ってみると、少しずつ上昇していることがわかります。
これは、経済状況や労働市場の変化によるもので、今後の動向にも注目が必要です。
給与の安定性とその変動は、個人の生活や経済活動に大きな影響を与えるため、引き続き注視することが重要です。
1.1 平均年収の一覧
- 2014年:421万円
- 2015年:423万円
- 2016年:425万円
- 2017年:434万円
- 2018年:439万円
- 2019年:438万円
- 2020年:435万円
- 2021年:446万円
- 2022年:458万円
平均年収はわずかに増加傾向にあるものの、物価の上昇が続く中で苦しいと感じる世帯も少なくありません。
そのため、賃金上昇の施策に注目が集まっています。
では、「世帯年収」に注目すると、変化はあるのでしょうか?