しかし昨今、前述したようにアジア圏での需要拡大に伴って値段が上がり、結果として牛丼ビジネスの旨味の低下につながっている。こうした背景もあり、吉野家は徐々に「脱・牛丼依存」を進めている。
牛丼事業の店舗数は近年ほぼ横ばいとなっているものの、うどんを提供しているはなまる事業の店舗数は年5~10%のペースで増加している。また、海外での店舗も年10%前後のペースで増加。結果として、会社全体の売上高に占めるはなまる事業と海外事業の売上高比率は年々高まっており、牛丼事業への依存度は低下しつつある。
うどん事業であれば牛肉高騰の不利を回避でき、海外事業であれば日本国内での人件費高騰の不利を回避できるというわけだ。また、直近ではステーキ・しゃぶしゃぶレストランを運営するアークミールの株式を全て売却する計画を発表している。事業リストラクチャリングも進める中で、「積極的に投資するならどの事業か?」という投資先の選別もより一層活発になりそうだ。今後、はなまる事業や海外事業の売上高・利益がどう増えていくのか、それら事業が牛丼事業に取って代わる収益柱に育つのかといった点も要注目と考える。
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石津 大希
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)に入社し、現在はコンテンツ編成本部マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
最終更新日:2024/09/04