減価償却費60億円前後、減損損失10億円超という非資金費用のおかげで、営業キャッシュフローは毎年純利益よりもはるかに高水準だ。それゆえ、投資キャッシュフロー分はおおむねカバーできている。

しかし、事業環境が厳しい中で減損が続くなど投資の旨味が失われつつある中、「毎年90億円も投資する必要はあるのか?株主還元に回した方がいいのでは?」と感じる投資家は少なくないと思われる。牛肉・人件費高騰は収益性以外にも、投資・株主還元といった領域にも大きく作用しそうだ。

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市場開拓・集客に注力で既存店売上高プラスを維持できるか

事業環境が厳しく、投資も報われづらいといった状況で、吉野家は主力の牛丼事業で既存店売上高の増加を図っている。既存店売上高はここ数年1%前後の増加率で推移していたものの、今期に入ってからは客数・客単価どちらも好調で、3Q累計で7%の伸びを見せている。