実は、Aさんがワインのオーダーを受けてから料理を運んだという判断は、決して間違っていたわけではありません。どちらかというと、「他のテーブルよりなにより、自分のオーダーを優先しろ。」というお客様の要望のほうが過剰な要求であり、その後も大声で罵倒し続ける行為はクレーマーそのものといってもよいでしょう。

ただ、ここでAさんは混乱して止まってしまうのではなく、まず「お待たせして申し訳ございません」という一言を口にし、冷静にお客様の注文の再確認を行うことができていれば、お客様も、ここまで怒りを爆発させることは無かったのかもしれません。

事例2)電話対応でおきたクレーマーエピソード

「電話という、相手の顔が見えない状況で気が大きくなる人もいます。」と語るのは、以前某パソコン機器メーカーに勤務していたというSさんという女性。

ある日のこと。Sさんは、男性客からの、自社製品についての問い合わせ電話に対応しました。男性客曰く、「パソコン本体とモニターを接続したところ、本体は動いているのに、モニターにおかしなメッセージが出て、画面が表示されない。」とのこと。

まずは『商品名をお伺いできますか?』と、冷静に問いかけるSさん。すると男性客は、『えっー…と、あれだよ。〇〇って言うやつ』と、Sさんが勤務する社名を答えてきました。商品名がわからず、メーカー名を答えたのだろうと判断したSさんは、ユーザー登録情報から、この男性客の購入した商品を特定しようとしました。