妊娠中の人にも出社を要求

続いても、金融機関に勤めるDさんの話。「在宅勤務が認められず、妊娠していて薬が飲めないような人にも出社を当たり前に要求する。そんな対応はブラック企業じゃないのかと感じる」と言います。

Dさんの部署には妊娠している人がいるそうなのですが、在宅勤務の環境が整っておらず、こういう状況下であっても出社しなければならないのだと言います。

「妊娠していると薬が飲めないし、いつも以上に体力を使うので病気や感染症には人一倍注意を払わなくてはならない。それを上司もわかっているのに、出社を強要する。母子の体に何かあったらどう責任を取るつもりなのか」と怒りをあらわにします。

また、かつて東日本大震災のときには別の一面を見たのだそう。「隣の部署の部長が電話に向かって『お前がいなくなったら、うちの客の金はどうなるんだ!』とある女性を罵倒。被災地はその人の実家がある地域で、おそらく彼女は地元に帰って復旧作業を手伝うとでも申し出たのだと思う」と言います。

「それに対して『お前以外にも被害にあった人はたくさんいるんだよ! お前がうちにいなくて、こういう有事でお金を本当に必要としているほかのお客さんのことをどう考えているんだ。早く出社しろ!』と激怒。言いたいことはわかるけれど、その女性だって実家が被害にあっているんだから被害者。その人だけに頼るのではなく、同じ部署のほかの人を動かせばいいのにと思って聞いていた」と話してくれました。

おわりに

企業ごとに対応は異なりますし、できることとできないことがあるのもわかります。しかし、せめて社員の健康と安全を考慮して対応を決めてほしいものですね。

大塚 ちえ