――派遣職員が車両やカーナビなどのトラブル対応なども行うわけですね。かなり車に詳しくないと、ボランティアから尋ねられても答えられないと思います。

ところがパソナの広告では応募資格として「社会人経験があればOK。アルバイトの場合はリーダー経験ある方」などの表記も見かけました。事故対応などは、未経験だと難しいのではないですか。

:確かにそのとおりです。事故対応のスタッフの場合、職員もかなり経験や専門性が求められます。自動車保険の事故対応コールセンターなどに勤務した経験のある方が望ましいと考えています。

一方で、ドライバーのシフト管理などは、一定のマネジメントの経験があればできると考えられます。これを「社会人経験があればOK」と表現しました。

現在パソナなどで募集している派遣職員の仕事には2000以上のポジションがあり、それぞれに求められるスキルや経験が異なります。ExcelやWordが得意な人が望ましいというポジションもあります。ITや通信機器のテクノロジーの知識や経験が求められるポジションもあります。

組織委員会の派遣職員とボランティアは、指揮命令系統もまったく別

――説明を聞くと、大会フェーズなどの短期の場合でも、派遣職員の仕事はどちらかと言えばかなりマネジメント寄りのように思えます。ボランティアの活動とはだいぶ違うことはわかりました。

ただ、その場合、活動場所でボランティアに指示をするのが派遣職員の役割ということになりますか。

:組織委の職員はボランティアリーダーと緊密にコミュニケーションをとりながら、ボランティアメンバーに協力してもらい、それぞれの活動場所での活動を遂行するのが役割です。したがって、ボランティアとは指示とか指揮命令という関係にはありません。

なお、組織委の派遣社員とボランティアは企画・運営を行う部署が異なります。組織委の派遣社員は私が所属している人事部採用課が運用を行いますし、ボランティアは傳や古瀬が所属しているボランティア推進部が運用を行います。

――「『ボランティアは途中でやめても引き留められないため、雇用関係のあるスタッフを最低限確保しておく必要がある』と組織委が答えた」と報じている新聞もありますが。それも違うということですか。

:取材時にどのような表現でお答えしたのか不明なのですが、組織委の職員がそのような趣旨で話すとは考えにくいのです。

というのも、今お話ししたように、組織委の職員とボランティアは指揮命令関係ではないですし、組織委の職員とボランティアは代替の関係にはありません。