大学で学ぶべきは「ストック」としての知識

生き方が多様になった今、全員が会社員としてキャリアアップを目指すわけではありません。筆者のように会社員から経営者に転身する人もいますし、会社員を経験せず、いきなりフリーランスとして働く人もかつてと比べて増えてきました。

経営者、フリーランスで働いていく上では「学歴」はほとんどの場合役に立ちません。筆者はフルーツギフトビジネス、英語教育ビジネス、ジャーナリスト業や講演活動をしています。が、こうしたビジネスをする上で「学歴」が役に立ったことは一度もありません。ビジネスを利用頂く顧客は、筆者の提供する「商品・サービス」に対価を支払っているのであり、学歴に対してではないのです。

しかし、それでも大学で体系的に知識を獲得し、頭の使い方を学ぶことには大きな意義があります。たとえば金融や経済の分野で、先端の知識や情報をたくさん持っている人は数多く存在します。でも、そうした個別の情報を「これは正しいのか?」「獲得した情報をどう評価し、第3者に役に立つ形で提供するのか?」ということを考えるためには、情報や知識を判断するための「ストックとしての知識」「情報や知識を加工するための頭の使い方」が必須になります。

日々、新たに生まれる情報を知る行為は「フロー」としての知識です。一方、それを評価したり、解釈する力は「ストック」です。

大学ではストックとしての体系的な知識を学問として学び、そして頭の使い方を獲得する機関だと考えます。そういうストックとしての知識や、頭の使い方を訓練する場として、大学には価値があるといえるのです。