妻も、夫の家柄や生活レベルに合わせようと努力した時期はあったそうです。しかし、戦後の経済変革に伴い、田畑が大幅に減少し、生活費の大半を夫の給料で賄わなければなくなったのです。この時点で妻は、夫の生活レベルに合わせるのをやめたそうです。

このご夫妻は100歳近い長寿だったのですが、離婚せず添い遂げています。晩年になっても、夫はスラリとした長身でダンディでした。妻は、誰とでも気軽に話し、姿も話題も飾らず庶民的でした。

夫の不在に悩み、自殺未遂を繰り返す妻

もう一人の妻は、人見知りで、家族だけで仲良く過ごすことを好みました。対して夫は、やたら人づきあいがいいのです。新婚時代から大勢の友人を連れて帰宅していたそうです。妻が不快に思っていることに気づくと、家ではなく外でにぎやかに過ごすようになりました。

夫は人に頼まれると、喜んで引き受けます。多くの相談事が持ち込まれ、深夜に電話で呼び出されることもしばしばでした。妻や子どもがいくら「行くな」と止めても、振り切って出かけるのだそうです。一番目の夫と同じように、帰宅しない日も多かったようです。

妻は、夫が帰らないときはお酒に頼り、昼間でも酔っぱらい、数回の自殺未遂を起こしています。娘も一度、自殺未遂をしています。制服や教科書もすべて処分したうえでの行動なので、本気だったことがわかります。

父親の不在が直接の原因ではありませんが、「いろんなことが複合的に襲ってきて」と語っています。