ニューヨークに増える「隠れ富裕層」その実態とは

「Working Rich」の意識と「Inconspicuous Consumption (目立たぬ消費)」から読み解く

「Inconspicuous Consumption(目立たぬ消費)」という贅沢

このような背景から、Working Richや道徳心に敏感なエリート達は「Inconspicuous Consumption (目立たぬ消費)」という、注目を浴びにくい贅沢や知的な活動にお金をかけているようです

米The Atlantic誌では、彼/彼女らの潤沢な消費資金は他人を感心させるように誰にでも目につくモノやサービスに消費せず、自己や家族の内面的な成長や幸福感を満たすために使っているようだと述べています(※2)。

高級車を乗り回すというよりも、家の中を快適に過ごせるようリノベーションしたり、フィットネスパーソナルコーチを雇ったり、良質な睡眠のために高級ベッドマットを購入するなどを好むとのこと。

また、知識層と交流するような排他的で高価なミーティングやセミナーに参加したり、クラブに入会したり、知的好奇心を満たす自己投資や教養費には糸目をつけないということです。

一方、英The Economistは、シェアリングサービスなどによって贅沢品への敷居が低くなった昨今では、あえて無駄な高級品を誇示せずに、簡単に真似できない多額寄付で社会的利益を実証することこそ、成功や富、品格を誇示する上で、最も目立つ方法となっているのかもしれないと述べています(※3)。

富裕層は格差社会の中で複雑な立場にいるようです。見せびらかさず、勤勉で、道徳心の強い富裕層であることを証明しなければならないのでしょう。しかし、こうして富裕層であることを目立たないようにすることは、格差問題を解決しているのではなく、「格差社会自体を隠すことで問題を悪化させている」という批判もあるようです。

それについてはまた別の機会で取り上げたいと思います。

【参考】
(※1)“What the Rich Won’t Tell You”The New York Times
(※2)“Inconspicuous Consumption”The Atlantic
(※3)“Inconspicuous consumption”The Economist

美紀 ブライト

参考記事

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アメリカ在住。
アメリカの某大学卒業。専攻は経済学と会計学。日本の大手専門商社にて海外輸出業務に従事した後、アメリカでは大学のアクセシビリティサービスに勤務しアメリカの教育現場に携わる。現在は、アメリカの低所得層の子供達を対象にした学習支援団体に所属し小学生と共に成長中。趣味はピラティス(指導者認定資格取得)と映画鑑賞とスパイ小説(特にDaniel Silva)を読むこと。
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