教育熱心ではあったのですが感情が先走りするタイプで、なかなか宿題をしない子供に対して怒鳴ってさせていたとのこと。話によるとその子は泣き泣き宿題をしたそうです。「ご近所にも怒鳴り声が聞こえていたはず」とその母親が言っていたのを覚えています。
話を聞いて「それはいけませんよ」と言いたかったのですが、それよりもその母親の気持ちを受けとめるべきだと思ってそのときは聞くことに徹しました。ただ言われっぱなしのその子の気持ちを考えると、塾講師としてその子を守ることはできなかったのかと今でも自問自答しています。
さらに言うと、子供を泣かしてまで勉強をさせても何も身に着きません。かえって勉強嫌いが高まるし、最悪の場合「恨み」の感情が出てきかねません。
そのうえ、家庭内の雰囲気も悪くなります。カっとなって勉強させる妻の姿を見るのが嫌だったと夫に言われたと証言した女性もいました。親として大人として、感情はコントロールしないといけません。
子供は「お客様」!?
それでは、どう対応すればいいのか。まずは感情のコントロールは不可欠です。カリカリしたままでは最善策は浮かびません。感情にまかせて怒っても、それは子供のケンカと同じ。カっとなってしまったときは、甘いものを食べる、アロマをたく、その場をはなれる、歌を歌うなどいったんちがう動作をとって自分を落ち着かせたいものです。
それから「上から目線」になっていないか自分の心理を確認すること。親に一方的におこられると子供はすくんでしまうだけ。「親なんだから」「子供なんだから」という偏見らしきものはなくして話ができるよう心を整えないといけません。
そのうえで子供に頼むような気持で語りかけるのです。「勉強する姿を見たいな」「手伝ってくれたらうれしいな」「宿題やっているときってかっこいい」と言葉をかけてみましょう。「やりなさい」「なんでできないの」と感情的になるよりははるかに子供の心に届きます。子供は「お客様」として眺めてみると子供への愛情や敬意も再確認できるはずです。