万が一、プロジェクトチームのメンバーが地震による二次災害などに見舞われて業務全体が遂行できなくなれば、クライアントにかえって大きな迷惑をかけてしまうと思ったからです。
結果的に危機的状況にはならず、メンバー全員、事なきを得たのですが、後日、即座に震源地から逃げた私を含む3人を非難するような人はいませんでした。
ミャンマーでは日本のように詳細な地震・被害情報はありませんし、田舎のホテルで英語も通じなかったので、現状とリスクを正確に把握することは難しい状況でした。
状況がわからない時に、楽観シナリオを想定するか、悲観シナリオを想定するか。私自身は、間違いなく悲観シナリオを想定し、結果的にその悲観シナリオが発生しなかったら、良かったなと安堵します。発生確率が低いとしても、万一、発生したときの損害が大きいと感じれば、そのリスクを徹底的に避けるべきだと考えます。
おわりに
さて、今回の敵は目に見えない新型コロナウイルスですが、皆さんが武漢の駐在員だったとしたら初動対応はどうされたでしょうか。
危機感の薄い日本本社の決定を待ったか、いつになるかわからない政府チャーター機を待ったか(今回は早かったですが)、あるいは、最悪シナリオに備えて空港封鎖前に国外脱出したか。人間は、危機の兆しがある時にこそ、判断や行動が分かれるものだとつくづく思う次第です。
大場 由幸
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。