万が一、プロジェクトチームのメンバーが地震による二次災害などに見舞われて業務全体が遂行できなくなれば、クライアントにかえって大きな迷惑をかけてしまうと思ったからです。

結果的に危機的状況にはならず、メンバー全員、事なきを得たのですが、後日、即座に震源地から逃げた私を含む3人を非難するような人はいませんでした。

ミャンマーでは日本のように詳細な地震・被害情報はありませんし、田舎のホテルで英語も通じなかったので、現状とリスクを正確に把握することは難しい状況でした。

状況がわからない時に、楽観シナリオを想定するか、悲観シナリオを想定するか。私自身は、間違いなく悲観シナリオを想定し、結果的にその悲観シナリオが発生しなかったら、良かったなと安堵します。発生確率が低いとしても、万一、発生したときの損害が大きいと感じれば、そのリスクを徹底的に避けるべきだと考えます。

おわりに

さて、今回の敵は目に見えない新型コロナウイルスですが、皆さんが武漢の駐在員だったとしたら初動対応はどうされたでしょうか。

危機感の薄い日本本社の決定を待ったか、いつになるかわからない政府チャーター機を待ったか(今回は早かったですが)、あるいは、最悪シナリオに備えて空港封鎖前に国外脱出したか。人間は、危機の兆しがある時にこそ、判断や行動が分かれるものだとつくづく思う次第です。

大場 由幸