夫婦間の問題に子どもを巻き込まないで

夫の愚痴を子どもに言い続ける…これは、子どもから父親を奪う行為に等しい、と筆者は感じました。Kさんの娘は長年Kさんから父親の愚痴や悪口を聞かされてきたばかりに、「お父さんのせいでお母さんは不幸になっている。お父さんは悪者だ」と考えるようになってしまったのです。

さらに、敵であるはずの父親に反抗したら、なぜか母親が父親に加勢した。このことで、母親にも裏切られたような気持ちになったのではないでしょうか。子どもにとって絶対的な存在である父親を憎み、母親からは裏切られたと感じる…Kさんの娘の傷はいかばかりか、と心が痛くなってしまいます。

夫婦間にはいろいろな問題が起こります。時には夫に我慢ならないこともあるでしょう。しかし、「まだ小さいから」と子どもに夫の愚痴を言うのは、子どもの未来を悲しいものにしてしまう、と心得なくてはいけません。夫婦間の問題に、決して子どもを巻き込んではいけないのです。

まとめ

子どもに夫の愚痴を言ってしまうと、子どもは父親のことを「大好きな母親を苦しめる敵」だと思ってしまう、というのはよく聞きます。なぜなら、子どもに与える母親の発言の影響力は、とても大きいものだから。私たち大人が想像するよりも、ずっとずっと大きいものです。

母親が「ちょっと不満があったから愚痴っただけ。心底嫌いなわけではない」と思っていても、そこまで子どもがくみ取れるはずはありません。子どもにとっては大人が言った一字一句がすべて、なのです。

子どもには自分の味方になってほしい、と思う気持ちはわかります。でもそれが子どもをはけ口にしていい理由にはならないのです。

大中 千景