1. 現状が当たり前だと思ってしまう(順応仮説)

これは、今までよりお金を稼いでも時間が経つとその状態に慣れてしまうということを指します。たとえば、大学時代のアルバイトに比べれば、ほとんどの人が社会人になると所得が増えるはずです。外食や買い物などで生活水準は確実に上がっているのにも関わらず、時間が経つとそれが当たり前となり、豊かさの実感が薄れてしまうというのです。

2. 現状よりさらに上の目標を目指してしまう(目標水準仮説)

研究では、自分が目標としている所得水準と今の所得を比較して、その差が大きいほど幸福度が下がるということが分かっているといいます。現状よりも高い目標を目指そうとしてしまう人間の特性はプラスの面もあるものの、そのために幸福度が下がるという側面もあるようです。

3. 周りも収入が上がったら幸せにはならない(相対所得仮説)

自分の収入だけで幸せは決まらないということも研究で明らかになっています。たとえば、職場で自分の年収だけが上がれば幸福度は上がりますが、みんなの年収も上がれば幸福度は上がらないということ。「自分だけ」収入がアップするという特別感が幸福度に影響するのかもしれません。

お金ではなく時間の使い方で幸福感が変わる

お金持ちと一般人の差は「お金」ですが、「時間」は1日24時間、1年365日、誰にでも平等にあります。

たとえば、日本人の平均的なサラリーマンには、通勤に1日2時間ほどを使い、帰宅後にはテレビやスマホで動画を1日2時間ほど見るという生活パターンが多いかと思われます。その合計は4時間×365日で約1460時間、なんと60日にもなります。