テロ、暴動を呼ぶ若者の怒りと不満~労働環境の格差による政治リスクとは

国際労働機関(ILO)は20日、世界の労働環境に関する最新の報告書を発表した。

それによると、世界経済が減速する中、去年の世界全体での失業者数は1億8800万人(失業率は5.4%)に上り、十分な労働時間を与えられない人、仕事を見つけられない人を合算すると4億7000万人あまりに及ぶという。

また、世界の労働人口の2割(約6億3000万人)の1日収入は3ドル以下で、15歳から24歳の失業者、教育・職業訓練を受けていない者は世界全体の22%を占めるとされ、若者の豊かな暮らしや安定的な雇用がいっそう難しくなってきているとILOは指摘した。

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テロ実行犯を生む格差や貧困

筆者は長年、テロリズムや暴動などを中心とする政治的暴力を研究(イスラム国やアルカイダの問題など)している。

テロの原因は貧困だとする議論がよくされるが、当然ながらその答えは1つではなく、貧困や失業、経済格差、社会的差別や孤独などあらゆるものが同時多発的に関連しており、ケースバイケースでそれを探っていかないとならないのが現状だ。

貧困も原因の1つではあるが、イスラム国やアルカイダなどのテロ組織の幹部たちは高学歴で頭がよく、裕福な家庭出身の者が非常に多い。

しかし、近年のテロ情勢を分析してくると、テロリストたち(幹部というより実行犯や末端兵士)の背景には、不安定な雇用や失業による不満や怒りが深く影響しているように思う。

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OSCアドバイザー/清和大学講師
岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障戦略研究所(SSRI)研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員などを兼務。
専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)、著書に『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら