・「兄は母の愛を一身に受け育ちました。『お兄ちゃんは勉強ができて自慢の息子』『体が弱かったから昔はよく高熱を出して、一晩中看病した』なんて、大人になってからも母は嬉しそうに話します。その熱量は明らかに自分へのものとは違うので、兄に対してだけ母は子離れできていない様子。

学生の時はそれが面白くなく反抗的な態度もとりましたが、大人になってからは『大事にされた兄貴が親孝行してやるのは当然』と割り切れるようになったことで、サッパリしました。だから妻にも『兄貴一家が親孝行するからうちはほどほどで大丈夫』と宣言しています」

・「夫は三男なのですが、昔話をするとびっくりするほど家族の思い出話が少ないんです。どうやら『跡継ぎである長男が偉い』という家で育ったため、かなり放任だったようで…。習い事の話などすると『兄さんは習ってた』なんて平然というので、驚いてしまいました。手間だけでなくお金も平等じゃないの?!と思わず聞いてしまうほど。

その話を聞いて以来、どうしても『跡継ぎ一家とその他』という溝が私の中でも大きくなってしまい…。両親への恩返しは長男のお嫁さんがやればいいのでは?と思うようになり、次男のお嫁さんである義姉とともに本家をのんびり傍観するようになりました」

親への感謝はあるものの、子供の頃平等に扱われなかった兄弟たちは「大事に扱われた人間が恩を返していくべき」と考えているようです。結果、その当事者である長男とその伴侶である長男の嫁が親の世話や孝行を存分にしていけばいいのでは?という考え方が兄弟間で生まれたようです。

一緒に動くのはNG?!長男の嫁は忙しい

「本家」「分家」といった古い言葉で分けられる長男一家と次男以降の家庭。別居が大多数の現在でもその差を感じさせるシーンは多々あります。姉・夫・弟の三人兄弟の家に嫁いだKさんは「自分は長男の嫁」だったんだと改めて感じたといいます。