今回のケースも、子どもは決してご婦人に嫌がらせをしよう、と思っていたわけではありません。子どもは「知らない人に話しかけられた」ので、学校や両親に言われた通り「急いでその場から逃げた」に過ぎないのです。もし筆者が我が子から「見知らぬ人にいきなり話しかけられたから、あわてて逃げた」なんて聞かされたら「正しい対処をした」と子どもを褒めると同時に、学校に不審者情報の連絡をしていることでしょう。

「気軽に子どもに話しかけることもできない、薄情な世の中になった」「子どもの警戒心が強すぎて可愛げがない」なんて言葉もしばし聞かれますが、子どもは、大人の言いつけをきちんと守っているだけなのです。

「知らない人に道を聞かれてもむやみに教えない」と子どもに教えると同時に、大人も「子どもに道を聞かない」ことを意識しなければいけない、そんな時代なのでしょう。

まとめ

小学生の親としての率直な気持ち、それは「他人に『愛想がない』と思われようが、我が子には自分の身を守るために警戒心の強い子どもになってほしい」です。最近のニュースを見ていると、悲しいかな「顔見知りだから安心」だと断言できるわけではない、そんな気がするのです。確かに少し寂しい、味気ない気はしますが…子どもの安全には代えがたい。これは保護者のエゴなのでしょうか。

大中 千景