「見知らぬ人から道をたずねられても決して案内してはいけない」と教えられた友人の子どもはアニメで、見知らぬ人に道案内をして大人たちからほめられ、ご褒美のお菓子までもらっている男の子の姿を見て、酷く混乱していたとのこと。それもそのはず、普段両親や先生から「決してやってはいけないこと」をしてほめられているのですから。

「困っている人を助けてあげるのはいいこと、と教える一方で道を聞かれても教えてはいけません、と言うのはねぇ…とは思うけれど、やっぱり子どもの安全を一番に考えたいものね」今のご時世仕方がない、と言ってしまえばそれまでなのでしょうが…。

話しかけただけなのに…

時を同じくして、知り合いのご婦人からこんな笑うに笑えない話を聞きました。

「少し前に道端で、小学生の男の子と出会ったのよ。あまり見かけない子だったけれど、向こうから『こんにちは』と挨拶してくれたので、『なんて礼儀正しい子だろう』と嬉しくなっちゃって『こんにちは。小学校何年生?どこまで帰るのかしら?』と質問しちゃったの。そしたらその子、しばらく私の顔を凝視したかと思ったら、突然防犯ブザーを鳴らして、走って逃げて行ったのよ」憤慨しながら語るご婦人に「それは災難でしたね」と返答するしかない筆者。

「まぁこんな時代ですからね、あまり子どもには気軽に話しかけてはいけないのよね。せいぜい挨拶程度よ」「寂しい時代になった」と嘆きながら去っていくご婦人。しかしこれも子どもが自分の身を守るためには致し方ないことなのかも…と筆者はしばし考え込んでしまいました。