古いしきたりの残る地方にお嫁にいったMさんは、結婚当初から姑の「早く男の子を産んで跡取りを」の声に悩まされてきました。「夫の実家は何代も続く農家です。姑は夫を含め2人の男の子を産んでいるので、結婚当初から『あなたも頑張りなさい』と言われていました。とはいえ、男の子を産むための努力と言われても…。

結婚後すぐに妊娠した私は、女児を出産しました。その時の姑の落胆した顔といったら。『仕方がないから次頑張りなさい』とプレッシャーをかけられ、ほどなく妊娠するもまた女の子。夫も私も追い詰められ、三人目まで頑張りましたが、またまた女の子が産まれました。姑は『ご先祖様に申し訳がない』と泣き崩れ、本当にいたたまれない気持ちでした。

昭和の時代「お墓を守るために跡取りが欲しい」という考え方をする人が多く、当時のお嫁さんたちを悩ませました。令和になった今も高齢者の間ではまだその考えが根付いているため、ときおり「女の子しかいないの?家は誰が継ぐのかしら」なんて声をかけられるといいます。

「男の子より女の子」逆転したのはいつ?

それでは、子を望む男女が「できれば女の子の方が欲しい」と思うようになったのはいつ頃からだったのでしょう。国立社会保障・人口問題研究所の『現代日本の結婚と出産―第15回出征動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書』によると、1990年代に入り、女の子を望む夫婦の割合が増えたことがわかります。