最近よく耳にするようになった「教育虐待」。教育熱心な親が、子どもの意思や受容能力などを無視して過剰な学習スケジュールを押し付けたり、子どもが成績不振であれば暴言や暴力を浴びせたり、ネグレクト(育児放棄)したりすることを指しています。

しかし、本来親は子どもを支配するのではなく、子どもの意思を尊重した子育てをするべきですよね。もしかしたら「本当はこんなに怒りたくないのに感情のコントロールができない」と悩んでいる親御さんもいらっしゃるかもしれません。子供をしつける時にはどんなことに注意すれば良いのでしょうか。

教育虐待が増えている?

教育虐待により精神状態が悪くなり、心療内科を受診しなくてはいけなくなる子どもが増えていると言います。

また、教育虐待がエスカレートしたケースとして、2016年8月、名古屋市内で当時12歳の小学生の息子を父親が包丁で刺して殺害するという痛ましい事件が起き、2019年7月の地裁判決では父親に懲役13年が言い渡されました。

裁判の中で、中学受験を目指すものの思うように勉強の進まない息子を包丁で脅し、暴言・暴力を浴びせていたこの父親自身も、実は祖父から同様に包丁で脅されて中学受験をさせられた経験があると述べました。

さらにこの祖父もその父(曽祖父)に厳しく育てられていたという、「教育虐待の連鎖」とも言える衝撃的な状況が明らかになったのです。

このように、自分がされたことを自分の子どもにもしてしまうという負のスパイラルは起こりやすいもの。そのため、子どものしつけは一時的な感情でカッとすることなく、言葉を選ぶ・論理的に説明するなど慎重にしなくてはいけません。

また、子どものためと思って勉強させても子どもが本当に望んでいなければ力がつきにくいものです。たとえば、中学受験を本人も希望しているのか、勉強より今は部活をしたいのではないかなどきちんとコミュニケーションをとり、本人が勉強したいと思えるようになったタイミングで親がサポートすることが大切なのではないでしょうか。