実は今回のエピソードは生田さんの実話と聞きました。どのあたりに気を配りましたか?

(生田さん)「大ヒット映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出演したときのジョニ・デップへのテレビインタビューは、今でも思い出に残っています。ワールドプレミアの会場は、ロサンゼルスのディズニーランド。世界中から取材陣が集まりました。彼はマスコミ嫌いで質問にあまり答えてくれない人だと聞かされていました。そのため、私もうまく話を開き出せるだろうかと心配していました」

(同)「ですが、実際に彼に会うと、前評判とは違い、とてもフランクで話しやすい雰囲気を醸し出していたので『役づくりのために工夫されたことはありますか?金歯がチャーミングでしたね』とストレートに尋ねてみたのです。すると、表情がイキイキとし始め、彼は笑顔で話しだしました」

たしかに、ジョニー・デップは、海賊役の役づくりのために、リアルな金歯を入れていました。接着剤でルビーを張り付けるなど結構無理なことをしていたのを覚えています。

(生田さん)「彼によると、『金歯を入れたのは、自分のアイデアだった』とのこと。そして、娘がその金歯が入った父親の姿に驚いて、『歯を見せて』と何度も言って膝の上から離れなかったというエピソードまで、『パパ』の雰囲気で話してくれました。そして、『これからは子どもが喜んでくれる映画に出ようと思っているんだ』と、彼の父親としての知られざるやさしい一面がふんだんに画面を通して伝わりました。私にとって会心のインタビューとなりました」

生田さんは、コミュニケーションは準備が大切だと解説します。これは、会社訪問前に会社の商品や歴史、得意分野などを事前に調べて行くと話題が広がることと同じです。「この人は、うちの会社を知ろうとしてくれている」ということが伝われば、心を開いてもらえるきっかけになります。対人折衝の機会が多く、コミュニケーションを必要とする人は覚えておきたいポイントです。

コツは何気ないキャッチボール