「邦人拘束」は続くのか〜中国ビジネスを政治リスクから考える

社員が”標的”に!? 政治リスクが中国ビジネスに落とす影

民主党政権時代、日本政府は尖閣諸島の国有化を宣言した際、中国では大規模な反日デモが各地に拡大し、日系企業のビルや店が襲撃されるなど大きな被害が出た。

その際、現地で具体的に被害を受けた駐在員と話したことがあるが、テロや暴動に“巻き込まれる”のと違い、自分たちが“標的となった”時の怖さは計り知れないものだったと聞く。

今後、尖閣諸島を巡る情勢で何かしら大きな亀裂が生じた場合、同様の事態が再び発生することもある。

そういう現実を抱える日本(日系企業)としては、日中関係の悪化も影響して、中国にいる邦人(社員)が意図的に拘束される可能性は依然としてあることを認識する必要があろう。

外交特権を有しない駐在員や旅行者であっても、国家・政府として国民に違いはなく、邦人拘束は政治的揺さぶり、外交カードになってしまう。

中国ビジネスだけでなく、戦争や内戦、テロや暴動などの政治リスクを分析することは、駐在員や出張者の安全、企業の経営にとって今後さらに重要になろう。

和田 大樹

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OSCアドバイザー/清和大学講師
岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障戦略研究所(SSRI)研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員などを兼務。
専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)、著書に『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら