収益力低下の加速で背に腹は代えられない状態に?

こうした動きを見ますと、今回の不稼働口座への手数料課金は、近い将来の口座維持手数料導入への布石だと思います。

既に証券業界では、オンライン証券会社が売買手数料を廃止する動きを加速していますし、資産運用業界でも信託報酬の引き下げ競争が加速しています。つまり、金融機関全体の収益源が減少し、収益力も低下してきているのです。

そうなると、広く浅く預金者から手数料を頂戴しようというのは自然の流れです。一般消費材の価格が仕入・製造費・人件費・宣伝費・運搬費等を勘案して決められるように、銀行であっても必要なコストはオンしないとやれない時代が来たということですね。

皮肉なことですが、こうした不稼働口座手数料や口座維持手数料の計算にもシステム運営コストがかかるわけで、発生の有無に関わらずフィンテックやITの力を借りなければなりません。

さらに、不稼働判定期間間近に少額入金されると、稼働口座とみなされ手数料が取れないということもありえます。

こうした環境下、遅かれ早かれ銀行の手数料課金導入や値上げシフトは加速していくでしょう。預金者である私達は、うまく手数料攻撃から身をかわす術を体得しないといけない時代になってきています。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)