大航海時代に栄華を極めたポルトガルは、18世紀半ばのリスボン大地震をきっかけに250年ほどにわたり長期衰退の道を辿ってきました。そんな中でも、昨今は輝くスタートアップ企業が次々と登場しています※。
一方、日本は平成の「失われた30年」といわれる”大後悔”時代を経験し、今では「衰退途上国」と揶揄されるほど雲行きが怪しい状況です。
2019年も間もなく終わりますが、来年以降、日本がポルトガルのような長期停滞に陥らないよう祈りつつも、もしもの場合に備え、中小企業はどう生きていったら良いのか、考えてみたいと思います。
※『日本人への教訓か〜衰退国家がスタートアップで息を吹き返す ポルトガルにおける劇的な起業環境改善』)。
「中小企業」のイメージは様々
中小企業の話題になると、人によってイメージが異なるため、議論が噛み合わないことも多々あります。
というのは、人は自分が見たことのある中小企業しかイメージできないからです。仮に勤めている会社が中小企業であれば、そのイメージでしょうし、商店街で個人事業を営んでいる方にとって中小企業とは近所の商店街の社長かもしれません。
法令上、中小企業は中小企業基本法第2条により業種別に定義され、たとえば、製造業では「従業員300人以下又は資本金3億円以下」、サービス業では「従業員100人以下又は資本金5,000万円以下」です。政策的な観点から定義は「○○以下」となりますので、その企業層は幅広くなります。
ちなみに、国際的に統一された定義もないため、国が違えば中小企業のイメージも違ってきます。たとえば、米国では「独立自営で、操業する分野において支配的な影響力を持たない」ことが中小企業の重要な要件です。
また、従業員数や売上高等による定義が業種ごと政策目的ごとに米国中小企業庁(Small Business Administration)等によって細かく規定されていますが、統計上、簡便に「従業員数500人未満」の定義が用いられることもあります。
欧州では、欧州委員会により「従業員数250人未満、かつ、年間売上高5,000万ユーロ以下又は総資産額4,300万ユーロ以下の企業」という定義が設けられています。さらに、ドイツ、英国など各国で独自の中小企業の定義が設けられている場合もあります。
1.「政策や事業環境のせいにしてもムダ」と覚悟を決める
中小企業向けの講演や勉強会などで、時折、国の政策や事業環境が悪いことを議論することがありますが、経営者にとってはあまり意味がありません。