6. 廃業という選択肢も考える
最近、NHKスペシャルで「大廃業時代〜会社を看取る(みとる)おくりびと〜」を見ました。廃業も最終的には選択肢の一つです。致命的な傷を負わずに廃業できるのであれば、倒産するよりは人生をやり直す道が残ります。
他の先進諸国と比べ、日本では多くの中小企業は負債過多で、経営者による個人保証・自宅等の担保提供が当たり前のようになっています。そのため、自己破産するまで経営者個人に借金がつきまとい、人生の再建が難しい社会のようです。
7. 理不尽なしわ寄せを跳ねのける
今、多くの中小企業にとって日本は生きにくい国なのかもしれません。
特に、いわゆる「下請企業」と言われる立場の弱い企業へデフレ経済のしわ寄せがきているようです。そうした中小下請企業にとっては「働き方改革」というのは一体どこの国の話をしているのかと疑いたくもなるでしょう。
もちろん中小企業経営者には、大企業からの受注を失うかもしれない、従業員を路頭に迷わせるかもしれないという恐怖感が常にありますが、もう少し自社の存在意義に自信を持ちましょう。そして、日本の経済・雇用・技術を支えてきたという誇りを取り戻しましょう。
ポルトガルの例を思い出してみてください。来年以降、たとえ国家が衰退しても、きっと個々の中小企業は輝いて生きていける道を探し出せるものと信じています。そして、その結果として、国家は息を吹き返すのだと思います。
大場 由幸
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。