優れた経営者は常に世の中の大きな流れを捉えようと必死に勉強しています。正解はありませんが、各自、自分なりの世界観を持つことが大切なのではないでしょうか。
4. 潜在市場規模を見極める
経験則上、社長の能力や「志」がどんなに素晴らしくても、衰退するマーケットに飛び込めば企業の持続的成長は難しいようです。世の中のメガトレンドに比べれば、経営者の能力の差などは誤差の範囲なのかもしれません。
結局、着目したマーケットは成長する分野か、という目のつけ所がポイントになります。そこを間違えば永続的な企業成長は見込めません。
高度成長時代には、飛び込む業界をさほど慎重に選定しなくとも、人口ボーナスと労働者の都市流入等による経済成長に便乗すれば良かったかもしれませんが、今後はそうはいきません。
世間は東京オリンピック(2020年)、万国博覧会(2025年)等で空騒ぎしていますが、自社の経営にはあまり関係なかったり、下手をすれば悪影響すらあるかもしれません。
皆さんの業界の長期展望はいかがでしょうか。もし縮小見通しの業界にいれば、過当競争が激化し、よほどの革新的な製品・サービスを生まない限り、先行き経営はかなり厳しくなるでしょう。
5. 経営力を鍛える
昔から「企業は人なり」と言われます。この「人」とは社長(あるいは経営チーム)です。これは中小企業・小規模事業者から大企業まで、すべての企業に当てはまるように思います。
社長の経営力にはリーダーシップという要素も含まれると思います。結局、優れたリーダーさえいれば、どんな難局も乗り越えられるということでしょう。
一方で、経営力をどうやって鍛えるかは難しい問題です。一つのヒントとして、人は厳しい状況を乗り越えるという経験でしか成長できないと思いますが、おそらく経営者も同様なのではないでしょうか。
スタートアップや中小企業を経営していれば、幾度も「死の谷」を迎えます。「死の谷」とは、一般に、新たな製品開発を進めながらも事業化する段階で資金が不足して企業として成り立たなくなることです。
また、中小企業では取引先の倒産等で資金繰りが急に忙しくなることもあります。そうした危機を乗り越えた体験こそが、後々の困難な状況で効いてくるのかもしれません。