中国などでは、ビジネス環境ランキングは低いですが(世界銀行:ビジネスのしやすさランキング2019年で中国第46位、日本は第39位)、新しい中小企業が続々と勃興し、成長しています。

極端な例を考えれば分かりやすいですが、例えばウガンダ。1人あたりの購買力平価(PPP)ベースのGDPは711米ドル(2018年、IMF)と最貧国ですが、多くの若者は就職先がないので生きるために開業するそうです。最貧国の事情を想像すれば、ビジネス環境のせいにはしてはいられません。

世界的に見て、日本、特に東京はインフラが最も整備された都市だと思いますが、もはや財政難の日本政府に手厚い支援政策は期待できません。将来、たとえ日本という国家が衰退しても、自分の会社だけは自立して生き延びていかねばと覚悟した方が良さそうです。

2. 自社の使命を再定義する

一般に、中小企業は一国の経済・産業の基盤だと言われます。それゆえに、程度の差はあれ、世界中で中小企業政策なるものが存在しているわけです。

しかし、中小企業の生存率はそれほど高くはありません。中小企業白書2017年版によれば、起業して5年後の生存率は8割くらいです。他の先進諸国では4〜5割です。

ただし、この統計の対象企業には小規模事業者は含まれませんので、古今東西、個人事業を含めれば5年後の生存率はおそらく2〜3割程度でしょう。世の中、そんなに甘くはないようです。

それでも生き残っている中小企業というのは、何らかの存在意義があって、社会の中で生かされるべき理由があるからだと私は信じています。

ただ、世の中は大きく変わっています。特に、日本では労働人口が減り、マーケットが縮小し、経営環境は厳しくなる一方です。環境変化に対応して自社の使命を再定義し続けていかなくてはならないでしょう。

3.「志」の前提となる世界観を養う

中小企業経営者にとって、社員と一丸となって愚直に頑張り続けるには、日本的に言えば、やはり共有できる「志」が大切なのではないでしょうか。

ただ、その「志」を決める場合、その前提として世の中の流れをどう捉えるか、世界・日本の全体像をいかに理解するか、と言うことが鍵になります。