いまで言う「デートレイプドラッグ」で、肉体関係を持ちたいと考えているターゲットに気づかれないよう睡眠薬などを飲み物に混入させ、相手の抵抗する力や意識を奪って行為に及ぶ卑怯な手口です。

混入する薬物の多くは、睡眠薬のハルシオン(トリアゾラム)や抗不安剤などの医薬品であり、入手先は医療関係に勤める彼女や両親、友人からもらうほか、本人が処方されている薬を使うことが多いようです。

無断外泊した状態にもなっているため家にも帰れないと泣きじゃくるBに、「お母さんには上手に伝えてあげるから」と、とりあえず家に帰るよう説得しました。

Bの母親とは少し面識があったためすぐに連絡をし、事情を説明して「睡眠薬か何かを飲み物に入れられた可能性がある」「妊娠している可能性や性病などの感染の危険性もある」ことを伝え、病院へ行くよう促しました。

ところが、Bの母親は「うちの娘を巻き込むのはやめてもらえます? もう、二度と電話してこないで」と静かな声で言い放ち、電話を切ってしまったのです。学校にも行かずに家出を繰り返していた筆者がBを巻き込んだと勘違いされても仕方なかったとは思っていますが、そんなことよりも、Bにきちんと向き合ってくれたのかがずっと気になっています。

このあと、B本人との連絡は取れなくなり、引っ越しをしたもののかなり荒んだ生活をしていると風の噂で聞いたのが最後となっています。

顔やカラダがパンパンに腫れあがった10代の死体

「誰にも言ってないんだけど、母さんが見つけたときには息もしてなくて、顔もカラダもパンパンに腫れてたって…多分…シンナー…」

香典を供えにCの家に行ったとき、Cの姉からそう打ち明けられ、小説などを書くのが好きだった筆者にこう言いました。

「シンナーとかして、あいつ…アホよ…ほんと…父さんもCのこと“出て行け”って突き放したけど、それでも立ち直ってほしくて言ったわけで…ほんと、何もわかってない。シンナーとかクスリとか、そういうのに逃げたら終わりだろ…? もし、朱里(筆者)が何かの機会に薬物のことを書く機会があったら、みんなに伝えて。薬物なんか、絶対にしたらあかんって。こうやって死ぬこともあるし、家族の関係を引き裂くこともあるって」

実は、Cの姉が筆者の同級生で、さらに筆者の弟がCと同級生だったため、Cが小学校に入学した頃から面識があったのです。ほかの生徒と比べると少し落ち着きがなく、少しだらしないところがあったものの、素直で可愛らしかったことをいまでもよく覚えています。

20歳に近づいても片付けができないことや、仕事が長続きしないといった理由から父親とかなり激しい衝突があったようで、家を飛び出して1年も経たないうちに帰らぬ人となってしまいました。