日中、空いている電車の中で、座席に座っておにぎりやパンを食べている若い人を見かけます。いつの頃からそんな姿を目にするようになったのでしょうか。これは、コンビニの発展と無関係ではないような気がします。駅中やホームにもコンビニが増えています。駅のコンビニで買って電車に乗り込む流れが定着しているのでしょう。

先日は、フライドチキンを食べている人がいました。臭いが半端ではありません。本来なら美味しさを感じる臭いも車内では単なる異臭です。ある日は、駄菓子の酢イカを食べている人に遭遇しました。横で「くちゃくちゃ」やられると不快になります。

先日、リュックからお菓子を出そうとした子どもを諭す親と遭遇しました。子どもは不服そうです。離れた席では高校生が菓子パンを食べながら、ワイワイ騒いでいました。その姿に目をやりながら、「どうして私は食べてはいけないの?」と疑問を抱くことは当然かもしれません。そのときの親の諭し方が見事でした。

「電車はみんなが一緒に乗っているね。モノを食べたりすると嫌がる人がいるかもしれないね。ジュースを飲んでいると、こぼすことだってあるでしょう。だから、食べたり飲んだりしてはいけないんだよ。モノを食べるのは、お家かお店。ちゃんと場所が決まっているんだ。場所をきちんと守れないのは、恥ずかしいことなんだよ」

電車内での化粧がなぜ恥ずかしいことなのでしょうか?それは、化粧という舞台裏を見せることに恥じらいがないからです。さらに、公の場(車内)において私事(化粧)をしているからです。なぜ駅のトイレを「化粧室」と呼ぶのでしょうか?それぞれの場所には、守らなければならないマナーやルールがあります。「公私」の認識を新たにすれば、物事の正しい道筋を理解できるかもしれません。

尾藤 克之