7. 【監修者の視点】iDeCoのシミュレーション時の注意点
iDeCoのシミュレーションでは、以下のポイントを見落とさないようにしましょう。
- 受取時の社会保険料・住民税への影響
- 退職所得控除と退職金の調整
- 掛金拠出時・運用時・受取時の手数料
iDeCoは一時金形式と年金形式での受け取りが可能ですが、年金形式で受け取ると、公的年金等に係る雑所得として扱われます。公的年金や企業年金といった、ほかの年金と合算した所得金額によっては「住民税が思ったほど軽減されない」「社会保険料の負担が増えてしまった」といったことにつながりかねません。
一方、一時金として受け取る場合は退職所得控除が適用されます。こちらは、会社の退職金の受取時期によっては、控除額が変わる可能性があるため、注意が必要です。
たとえば、iDeCoの一時金を受け取った後に会社の退職金を受け取り、それぞれに退職所得控除を適用するには、iDeCoの一時金受取から退職金の受取まで10年以上の期間を空けなければなりません(2026年1月1日以後に受け取るiDeCoの一時金が対象。それより前は5年)。
10年経たないうちにiDeCoの一時金と退職金を受け取ると、退職所得控除を十分に適用できず、退職所得に対する税負担に影響する場合があります。
そして、掛金拠出を始める前に確かめておきたいのが「手数料」です。iDeCoでは、加入時や掛金拠出時、資産管理時、受取時など多くのシーンで手数料がかかる可能性があります。
たとえば、「掛金拠出時の手数料が月額合計186円の場合、30年間の合計は6万6960円」です。なお、このうち国民年金基金連合会の手数料は、2026年11月分の掛金までは拠出1回ごとに105円で、2026年12月分(2027年1月引き落とし分)の掛金から月額120円に変わります。
金融機関(運営管理機関)によっては、手数料を別途独自で徴収したり、投資信託を選ぶ際に信託報酬がかかることがあります。掛金と想定利回りに加えて、手数料も確認しましょう。
8. 【まとめ】シミュレーションは前提条件を変えて複数の試算を
iDeCoはさまざまな税制優遇がある制度です。シミュレーションの際は、節税額、運用額、受取方法ごとに試算してみるとよいでしょう。税負担は所得や各種控除、運用額は掛金や運用期間、利回りによって変わるため、いくつかのパターンを用意して試算するのが望ましいです。
また、iDeCoは原則60歳までは引き出せず、運用商品によっては元本割れする可能性があります。制度や商品の特徴を十分に理解し、自分の家計にあった掛金設定や運用の仕方をすることを心がけましょう。
※本記事は2026年7月7日にLIMO&FPで公開した記事を再編集しています。掲載している金額や金利などの情報は、すべて執筆時点(2026年11月)のもので、変更される可能性があるため、最新情報は必ず各公式サイト等でご確認ください。
参考資料
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCo(イデコ)のメリット 」
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCo(イデコ)をはじめるまでの4つのポイント」
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「かんたん実感!iDeCoシミュレーション」
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「お知らせ(手続関連):加入者にかかる手数料見直しについて」
- 厚生労働省「iDeCoの概要」
- 厚生労働省「2025年の制度改正」
- 厚生労働省「2026年12月からiDeCoがパワーアップ! 制度改正の3つのポイント」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 野村證券「資産運用シミュレーション みらい電卓」
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
- 国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 金融庁「NISAを知る」
- 総務省「ふるさと納税のしくみ」
- 財務省「令和7年度税制改正の大綱」
中沢 新